夢はひそかに…できないっ *草食王子にkiss*
コンコンッ
「理事長室」という札のかかったコーヒー色のでっかい扉を叩く。
「どうぞ」
「失礼します」
き、緊張する……。
ドアの向こうには、さっき入学式で見た、理事長さんがいた。
「久子ちゃん、この娘ったら、ホールで寝てたのよ?」
「クスクス、あら、そうなの」
仲睦まじく笑いあう二人。
あの……私、状況がいまいち読めてないんですけど。
「優香ちゃん。そこに座ってくれる?」
「は、はいっ」
入試のとき、面接で覚えた座りかたで椅子に座る。
その様子を見て、再び理事長さんが笑った。
「はじめまして。私は星条久子。あなたのお母さんと、高校生からの友達なの。よろしくね」
にっこり、手を差し出される。
握手……かな!?
とりあえず手を握る。
……っていうか、星条って……王子様と同じ名字じゃん!
「星条凛夜」、入学式でそう言ってた。
ということは、お母さん……?
「クスッ、その表情だと、気付いたみたいね」
「あ……はい」