夢はひそかに…できないっ *草食王子にkiss*
子どもなあたしは愛を知る
「優香ちゃん、今日はありがとな」
「いえ、お役に立てたかどうか……」
あれから約一時間後、しおり作りは終わり、生徒会の方々と一緒にご飯を食べた。
もちろんあの、高級ディナー……。
今日もよくわからない呪文料理だったけど、すごく美味しかった。
これは、家に帰れなくなっちゃうな……。
「じゃ俺ら帰るから。おやすみ」
「おやすみなさい!」
生徒会の皆さんと別れて、凛夜くんと二人になる。
「優しい人たちだよね」
エレベーターの中、凛夜くんが楽しそうに言う。
その横顔は、妹さんたちのことを話していたときと同じ、優しい顔だった。
凛夜くんは、あの人たちのことが本当に好きなんだなぁ……。
……あ!
好きといえば、あたし今日、凛夜くんにコクったんだった……!
凛夜くんは涼しい顔だけど……何にも思ってないのかな。
そう考えると、悲しくなってきた。
チーン
レトロな音が鳴って、エレベーターが14階に着く。