夢はひそかに…できないっ *草食王子にkiss*
「……そんなことで、泣いたの?」
「そんなことって……あたしにとっては」
「嬉しかったよ」
え……?
顔を上げると、はにかんだ顔の星条がいた。
「同居とか、子作りとか、そんなのはうちの母の勝手。本当は僕のことを嫌ってもおかしくないくらいだ。それなのに僕のことを好いてくれたのは、すごく嬉しいよ」
星条くん……。
「だけどね、花壁さん。花壁さんだって1人の女の子なんだ。僕は自分の母なんだから、自分で責任をとらなくちゃいけない。だけど花壁さんは、花壁さんだ。母親同士の友情なんか関係ない。花壁さんは、花壁さんの好きな人と付き合って、好きな人と家庭を築けばいい」
それって……。
星条くん。
「花壁さんは、恋とか愛とか、わからないんだよね。僕も正直、よくわからない。でも、花壁さんを大切にしたいって思うのは変わらない。だからこそ、花壁さんには幸せになってほしいんだ」
「じゃあ、あたしはもう、星条くんとはいられないの……?」
「花壁さんが望んでくれるなら、僕はいつでも大歓迎だよ。花壁さんが夢中になれる人が出来たら、いつだってその人の所に行ってほしい……意味、わかるかな?」
長く話しちゃったね、と星条くんは笑った。