夢はひそかに…できないっ *草食王子にkiss*
「北川先生……」
そこにいたのは、僕や花壁さんの担任、北川幸江先生だった。
ふわふわアフロにムキムキの体という、少し変わった女の先生だ。
「どうして泣いてるのん?可愛い顔が台無しよぉ」
「すみません……男の癖に、こんなに、泣いて……っ」
へたりこんだ僕の目線に合わせて、北川先生が優しい声をかけてくれる。
それで、余計に涙が溢れだした。
「あーあ、もう、泣かないのぉ。よしよし、何があったかは知らないけど、アタシについてきなさい」
北川先生はそう言いながらピンクのハンカチを差し出してくれて、なんだか自分が急に恥ずかしくなった。
さっきまでは、すべて自棄になっていたのに。
僕は北川先生の手を借りて腰を上げた。
「そーそー。いい子ね」
「すみません、ありがとうございます」
「あなたにとっておきのプレゼントがあるの。いらっしゃい」
なんだろう……?
そう思ったが、僕は言われるがまま、北川先生の後をついていった。