夢はひそかに…できないっ *草食王子にkiss*
屋上に出ると、5月の暖かい陽気が僕らを包んだ。
先客が何人かいるが、まだ昼休みは始まったばかりで場所はたくさんある。
「てきとーにこの辺で食うか」
創太があぐらで座り込み、みんなで円を囲むようにして座った。
みんなでいただきます、と言ってから焼きそばパンの袋を開ける。
花壁さんはやっぱり、隣で心配そうに僕を見ている。
焼きそばパンを口に運ぶ……やっぱりチープな味。
でも不味くはない。
むしろ美味しいくらいだ。
「美味しいよ」
「よかった……」
花壁さんがほっとした顔で笑う。
まるで自分の料理を美味しいと言われたように、嬉しそうだ。
「そだ、優香。話あるからあとでお願い」
「……?わかったぁ」
長野さんと花壁さんは幼なじみらしく、ずっと仲が良い。
大人っぽい長野さんと、人懐こい花壁さん。
僕の目から見ても正反対だけど、息はぴったりだ。
「焼きそばサンドおいしーい!!焼きそばパンとは違うねぇ」
「だろ?あんま食うなよ……っておい!何完食しちゃってんだよ!」
「ごちそうさまでーす」
「てめ……っおい逃げんな!!」
福島さんが創太のパンを横取りしたらしい……。
食後にも関わらず、二人はおいかけっこを始めてしまった。
「ったく……子供なんだから。まぁいっか、いいタイミング作ってくれた」
「タイミング?」