やつ
ふいに、視界の端に黒いものが映った。
何かと思い見てみると、そこには骨董屋のような店があった。

その店は木で作られていて、幾分お洒落である。
屋根の直ぐ下に『fleuriste』と白い文字で書かれてあるが、意味は分からなかった。
ドアノブには『open』という看板が掛けられている。

約二年この道を通って会社へ通勤してきたが、果たして、今までこんな店はあっただろうか。

その店は、廃れた商店街の中に、ひっそりと佇んでいた。

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