やつ
シゲルは半分吸い込まれるようにその店に入っていった。

店に入ると、花の良い香りがシゲルを包んだ。
そこには窓がなく、蝋燭のオレンジ色が暗がりの中でゆらゆらと揺れているだけであった。

棚には沢山の植木ばちが並んでいる。
覗いてみると、植木ばちには土が埋まっていた。
ただ、花も咲いていないし芽も出ていない。

本当にこの店は開店しているのだろうか。




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