やつ
暫くすると、女性がひょっこりと顔を出した。
カウンターの影に隠れていたようだ。

ブロンドの髪を見ると、日本人ではない。
彼女の滑らかな白い肌は、マネキンを思わせた。

「いらっしゃい」

どうやら日本語が通じるようで、シゲルは安心した。

「日本語お上手ですね」
シゲルが言った。

「だって半分は日本人だもの」

彼女はカウンターを台に頬杖をつきながら、クスッと笑った。
その仕草や表情はとても上品で、異国のお姫様のようだった。

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