定義はいらない
一日中怒りは治まらなかった。

太朗ちゃんからの返信はなかった。

心が乱れた。

一体、何が起こったんだ?

私の身に何が起こったんだ?


あいつが全て悪い。

私が弱っている時にうちに来て

寝た挙句に『内密に』だなんて。

私と寝たことを恥と思うなんて。

病棟で胸を張って欲しいくらいなのに。

なんて奴だ。


太朗ちゃんへの悲しみも

私の自己嫌悪も全て松木先生の肩に負わせた。



むしゃくしゃした気持ちはシャワーを浴びても

流せるものではなかった。

水に流すなんてよく言ったものだ。

身体の隅々まで指を入れてまでして洗い身支度を整えていると

また携帯が振動した。

太朗ちゃんからかと期待すると、遥からだった。


「ディズニーに行かない?」


呑気なメールにイラつきは止まらなかったが

ミッキーに癒してもらおうと思い

「行く」と2文字でメールを返した。
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