定義はいらない
「まぁさ、俺の進言はさ、
 人前でああゆうことはしない方がいいと思うよ。」

「ああゆうことって?」

「だから人の腕を引っ張ったりさ、タクシー乗せようとしたり。」

言葉が出ない。

こんなこと、大人になってから注意されるなんて。

「まぁ、友達だから言うけどね。俺からの進言。」

進言って…偉そう。

呆れて言葉が出ない。

でも、なんだろう。

なんでこんなにこの人は

素直に私に言いたいことを言うのだろうって思った。

「……気をつける。」

「うん。」

「長野行くんですね。」

「そうそう。お世話になりました。」

「私、何もしてないから。」

「いやいやいや、鈴木さんにはよくしてもらったよ。」

「まぁね、私は仕事できるしね。」

「それは間違いないよ!」

この人はいい意味でも

悪い意味でも素直だ。

きっと、この言葉も本物だ。
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