定義はいらない
「だって先生、彼女いるんでしょ?
 私も彼氏いますし。ダメですよ。明日仕事だし、お互い帰りましょう。」

「そうか、ダメか。」

幾分、残念そうにして彼はウェイターを呼ぶ。

伝票とカードをウェイターに差し出す。


「先生、今の彼女と再婚するんですか?」

「どうかな。」


ウェイターの持ってきた控えにサインをして先生は立ちあがった。


「私、出します。私しか飲んでないし。」

「いいよ。」


手を繋がれた。

並んで歩くと思いの外、身長が高いことに気が付く。

いつも遠くから見ているから気付かなかった。


「身長いくつですか?」

「178cm」


肉厚な手はとても温かく頼もしかった。



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