定義はいらない
それから日曜日の夕方まで

私と松木先生はずっと一緒に過ごした。

土曜日は大王わさび園に行って

日曜日は上高地に行った。

私は大興奮したけれど、松木先生はあまり興味がなさそうだった。

「すごいなぁ~。」

くらいの感想に私は釈然としなかったが、連れて来てもらっているのに

文句も言えなかった。

本当は何でも良かったのかもしれない。

ただ、松木先生と一緒にいられれば

高級料理じゃなくても良かったし

高級なお酒もいらなかった。

土日とも家で映画を見るのでも良かった。

松木先生とは気がねがいらなくて、

一緒にいて楽だった。

何も話さなくても良かった。


ただ、そこに松木先生がいれば私は暖かかったから。

ぽかぽかと陽だまりで寝転んでそのまま昼寝をしてしまう、

そんな居心地の良さを感じていた。
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