定義はいらない
「で、ぶっちゃけどうなの?DSライトが当たった感想は。」


目の前の高橋君はからかいながら聞く。


「嬉しいけど、DS持ってるしね。

 DSは実家の母親にあげて今日貰ったのを私が使うよ。」


一番最初にビンゴしても一番いい景品が当たるとは限らなかった。

壇上に上がった私はくじを引かされ

当たった景品は『ニンテンドーDSライト』


「これで、また一人で家に引きこもれます。
 二人ともおめでとう。ありがとうございました。」


景品が当たったスピーチでそう言うと

「そんなことするなぁー!」

という聞き覚えのある声で野次が飛んだ。

笑いが起こり、私はその笑いを幸いに礼をして壇上を下りた。



ビンゴ大会はその後スムーズに進み

私たちは二次会に参加することになった。

目の前に座っているのは、高橋亮君。

八人と名前を交換したけれど

結果的に名前を覚えられたのは彼だけ。



「高橋くんは美顔器だったね。
 まさか、あそこで女の子にあげちゃうとは思わなかったよ。」

「だって俺、肌きれいだし。」

そう言ってビールを飲み干す。

逞しい手。

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