定義はいらない
「私、そろそろ帰るね。」

次の日仕事の私は少し早目に席を立った。


「杏子、先に帰るの?」

沙織が一緒に席を立った。

「私は明日朝からだから帰る。みんなは明日休みとか夜勤でしょ?
 もっと飲んでていいよ。」

「そっか。」

あっけなく沙織はまた座る。

はいはい、って感じ。


「俺、送るよ。」


そう言って高橋君は席を立った。


「あっ大丈夫。だいたい道分かるし。」

「いや、こんな終電前に女の子一人で歩かせられないでしょ。」

そう言って私のコートと自分のコートを取った。


「送ってもらいなよ。」

沙織の援護射撃。

「亮、変なことするなよ。」

周りの野次。


「大丈夫だって。」

少し照れながら私たちは新郎・新婦に挨拶をして店を出た。
 
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