定義はいらない
味をしめてその当直医室は時々私たちの逢引きの場所に使われた。


週に1回うちに来て

ときどき当直医室で密会して


お互いよく飽きないなって思った。


週の5日は会っていることになる。

月曜日から金曜日まで私は彼と一緒にいられた。

周りの職員に気付かれることなく

二人の逢瀬を楽しんでいた。

土日だけは望まなかった。

土日は奥さんの時間だ。

それを私が望むことはできない。

せめてもの罪滅ぼしのつもりだった。


私たちの関係は気付けば3ヶ月経ち

その間には私の誕生日もクリスマスもあったけれど

一緒に祝うことはできなかった。


ただ、誕生日の日にメールが来た。

「誕生日だよな?おめでとう。」

そのメールを見て嬉しくなり、涙が出た。

すぐに保護設定にして

携帯電話を彼の代わりに抱きしめた。
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