定義はいらない
責任転嫁をするつもりはない。

そんなことできない。

でも、私が太朗ちゃんに抱かれたのは

最後に遥に会った日で

遥に結婚を発表された日だった。


あの日の孤独感を、私はもう二度と味わいたくない。


「聞きたくなかった。」

「そう言われると思ったから言いたくなかった。」


再度、沈黙。

「夜中にごめんね。電話切るね。」

早く電話を切りたい一心で

私は思ってもいない謝罪をする。

「うん。早く、そういうの止めなよ。じゃあね。」

そう言って遥から電話を切られた。


『不倫』というのは

遥にとって口に出すのもおぞましいのかな。

そう思って私はまたワインをグラスに注いだ。

とめどなく涙が流れてきて

酔い潰れてこのまま消えてしまいたかった。
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