定義はいらない
今日は火曜日。

太朗ちゃんとの週に1度の逢瀬の日。


「だから今度、佐々山先生とまどかと飲み会して来ます。」


本当は私が他の男性と飲み会をするのを嫉妬して欲しいのに、

「早川と飲み会かぁ、いいなぁ。」

って簡単に言う。

「来ます?」

「行ったら乙だな。」

「乙ですね。」

「何曜日?」

「さ来週の月曜日。」

「俺、外勤じゃん。」

「うん。」

「ダメじゃん。」

「うん。残念でしょ。」

「残念だな。」


私のパジャマに手をかけて彼は本当に少し残念そうにする。

「君は2人をセッティングするだけなの?」

「そのつもりでしたけど。」

「誰か他の男連れて行けば?」

「え?誰を?」

「誰でも。」

パジャマを脱がせてブラジャー越しに胸を触る。

「君も誰かを連れて行けばいいよ。」

私は誰も思い浮かばずに、少し涙が出た。


初めて感じているフリをした。
< 92 / 200 >

この作品をシェア

pagetop