定義はいらない
2人してちょっと笑う。

こういう会話を同年代の男性と2人でするのは

久しぶりな気がする。

実際は亮ちゃんと別れてまだ半年も経っていないのに、

随分、昔のことのように感じる。


「あれ?お店探しですか?」

「はい。」

「こことかどうですか?」

第一候補のバーのHPを見せると渋い顔をされた。

「却下ね。」

「いや、行ったことあるから。」

「はいはい。」

私はまたパソコンに向かう。

「松木先生のせいでまた調べ直しですよ。」

「いやぁ~悪いことしちゃったなぁ。」

そう言って眉間にしわを寄せる。

「ははは。大丈夫ですよ。何か食べたいものあります?」

「何でもいいですよ。近ければ。」

「何でもいいが一番困るんです。」

「ですよね。」

そしてまた笑う。

楽しいなぁと思う。


「俺の連絡先教えとくので、お店決めたら教えてください。」

「分かりました。」

そう言ってメモ紙に自分の連絡先を書いて渡してくれた。


「よろしくお願いします。では、お疲れ様です。」

会釈して彼は去った。

さわやかだな、と思い、少し嬉しくなった。


俄然、やる気が出て私は再度パソコンに向かった。
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