シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
「はい!1・2・3・・・1・2・3。はいっ!そこでターン!」
何も家具が置かれていない広い部屋の中にリズミカルな手拍子が響く。
エミリーはダンスの基本ステップを教えてもらっていた。
「エミリー様、ずいぶん上達しましたね。
明日は曲に合わせてやってみましょう。今日はお疲れ様でした」
リズムよく叩いていた手を下におろし、にっこりと先生は微笑む。
「はい、先生。ありがとうございました」
ここは一面が鏡で出来ているダンスのレッスン用の部屋。
「ふぅ・・・疲れた」
ペタリとその場で座り込むと、思わずため息が漏れてしまう。
慣れないヒールの靴で踊るのは想像以上に難しい。
慣れない靴と繰り返す練習で、靴ずれが出来てしまって痛い。
エミリーはこのところ毎日、勉学と礼儀作法とダンスを習っている。
初めてのアランとの朝食の後。
ウォルターが持っている教育書類の項目に
”ダンス”があることが分かり、エミリーは慌てて丁重にお断りしようと
したのだけれど。
「ウォルターさん、あの・・・わたしにはダンスは必要ないと思うわ。
舞踏会に招待されるような身分じゃないし」
遠慮がちに言うエミリーに対し
「とんでもございません。
あなたはアラン様の賓客ですので、いつか公の場に出ることが考えられます。
私は、あなたにどの場に出ても恥ずかしくない教養を身につけてもらうようにと、アラン様に命じられております。
公の場で求められる教養はダンスです。
ダンスのレッスンだけは他の何を置いても受けていただきます」
有無を言わせぬ物言いに、城に住まわせてもらってる身としては
これ以上逆らうことができなかった。
「この国の令嬢になるのは大変ね・・・」
痛む足をさすりながらフッとため息をもらした。
何も家具が置かれていない広い部屋の中にリズミカルな手拍子が響く。
エミリーはダンスの基本ステップを教えてもらっていた。
「エミリー様、ずいぶん上達しましたね。
明日は曲に合わせてやってみましょう。今日はお疲れ様でした」
リズムよく叩いていた手を下におろし、にっこりと先生は微笑む。
「はい、先生。ありがとうございました」
ここは一面が鏡で出来ているダンスのレッスン用の部屋。
「ふぅ・・・疲れた」
ペタリとその場で座り込むと、思わずため息が漏れてしまう。
慣れないヒールの靴で踊るのは想像以上に難しい。
慣れない靴と繰り返す練習で、靴ずれが出来てしまって痛い。
エミリーはこのところ毎日、勉学と礼儀作法とダンスを習っている。
初めてのアランとの朝食の後。
ウォルターが持っている教育書類の項目に
”ダンス”があることが分かり、エミリーは慌てて丁重にお断りしようと
したのだけれど。
「ウォルターさん、あの・・・わたしにはダンスは必要ないと思うわ。
舞踏会に招待されるような身分じゃないし」
遠慮がちに言うエミリーに対し
「とんでもございません。
あなたはアラン様の賓客ですので、いつか公の場に出ることが考えられます。
私は、あなたにどの場に出ても恥ずかしくない教養を身につけてもらうようにと、アラン様に命じられております。
公の場で求められる教養はダンスです。
ダンスのレッスンだけは他の何を置いても受けていただきます」
有無を言わせぬ物言いに、城に住まわせてもらってる身としては
これ以上逆らうことができなかった。
「この国の令嬢になるのは大変ね・・・」
痛む足をさすりながらフッとため息をもらした。