シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
エミリーは暗闇の中で一人ポツンと座っていた。
身体に当たるのは堅い感触で、何か石のような、床のような物の上に座っている。
ここは冷たくて哀しくて、今の心の中を象徴するかのような、暗くて寂しい場所。
瞳を覆った指の間から、はらはらと涙が零れ落ちている。
―――寂しい・・・声が聞きたくて・・・会いたくて堪らない・・・
わたし、こんなにもアラン様のことが好き。
恋しくて・・・切なくて・・・気が遠くなりそう―――
会いたくて、気が遠くなりそう―――
はらはらと溢れる涙が闇の中に溶けていく。
こんなに辛いなら、この涙のように、この闇の中に溶けてなくなってしまいたい。
そう思っていると、どんどん闇が広がっていき、エミリーの身体を侵食していった。
最初に足元が闇に溶け、次に腰までが闇に染まり、やがて顔を覆った手と髪の一部だけが残るのみになった。
「エミリー・・・・君か―――?どうした・・・・そんなところで・・・何を泣いておる?」
様子を窺うように、少し遠慮がちに響いた小さな声。
それが耳に届いた瞬間に、闇の中にぽぅっと小さな灯りが灯った。
その灯りはとても温かくて、氷のように冷え切った心が溶けていく。
身体を覆っていた闇色が瞬時に消え、澄んだ空気に変わった。
この声・・・懐かしいこの声は・・・まさか、そんなはずないわ。
こんな場所に、居るはずがないもの。
こんな世界に、アラン様がいるはずないもの・・・。
アメジストの瞳も頬も濡れたまま、ゆっくりと声のする方に振り向いた。
そこには少し困惑気味のアランの姿があった。
「何故君がここにいるんだ?」
いつものきちんとした服装と違い、Tシャツのようなものにズボンを履いたラフな姿。
よく見ると、手には剣を持っていて、少し汗をかいていた。
見下ろしてくるブルーの瞳は戸惑いと嬉しさが混ざり合い、とても複雑な色を宿していた。
「アラン様・・・?」
これは夢だわ。夢を見てるんだわ・・・これはわたしの夢・・。
わたしだけのもの。だから、思う通りにしてもいいわよね?
マリア姫に遠慮とか、身分がどうのとか、気にしなくていいわよね?
「あの・・・アラン様・・・わたし、会いたかったの」
身体に当たるのは堅い感触で、何か石のような、床のような物の上に座っている。
ここは冷たくて哀しくて、今の心の中を象徴するかのような、暗くて寂しい場所。
瞳を覆った指の間から、はらはらと涙が零れ落ちている。
―――寂しい・・・声が聞きたくて・・・会いたくて堪らない・・・
わたし、こんなにもアラン様のことが好き。
恋しくて・・・切なくて・・・気が遠くなりそう―――
会いたくて、気が遠くなりそう―――
はらはらと溢れる涙が闇の中に溶けていく。
こんなに辛いなら、この涙のように、この闇の中に溶けてなくなってしまいたい。
そう思っていると、どんどん闇が広がっていき、エミリーの身体を侵食していった。
最初に足元が闇に溶け、次に腰までが闇に染まり、やがて顔を覆った手と髪の一部だけが残るのみになった。
「エミリー・・・・君か―――?どうした・・・・そんなところで・・・何を泣いておる?」
様子を窺うように、少し遠慮がちに響いた小さな声。
それが耳に届いた瞬間に、闇の中にぽぅっと小さな灯りが灯った。
その灯りはとても温かくて、氷のように冷え切った心が溶けていく。
身体を覆っていた闇色が瞬時に消え、澄んだ空気に変わった。
この声・・・懐かしいこの声は・・・まさか、そんなはずないわ。
こんな場所に、居るはずがないもの。
こんな世界に、アラン様がいるはずないもの・・・。
アメジストの瞳も頬も濡れたまま、ゆっくりと声のする方に振り向いた。
そこには少し困惑気味のアランの姿があった。
「何故君がここにいるんだ?」
いつものきちんとした服装と違い、Tシャツのようなものにズボンを履いたラフな姿。
よく見ると、手には剣を持っていて、少し汗をかいていた。
見下ろしてくるブルーの瞳は戸惑いと嬉しさが混ざり合い、とても複雑な色を宿していた。
「アラン様・・・?」
これは夢だわ。夢を見てるんだわ・・・これはわたしの夢・・。
わたしだけのもの。だから、思う通りにしてもいいわよね?
マリア姫に遠慮とか、身分がどうのとか、気にしなくていいわよね?
「あの・・・アラン様・・・わたし、会いたかったの」