シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
エミリーは行方不明になっていた間のことをエリックに話して聞かせた。
天使の力が宿ったことは省き、アランのことは王子様で大好きな人だったと説明した。
「そうか・・・そんな場所に―――でも、良かったな・・・帰って来られて。御両親の心配してる様子は、辛くてとても見ていられなかった」
「そうね・・・。ほんとうに良かったわ」
そう、これでいいの。わたしの在るべき世界はここだもの・・・。
「兎に角エミリーが無事に帰ってくれて良かった。でないと、俺の心が行方不明になったままになってしまうところだった」
「エリック、何かあったの?」
部屋に入ってきてからずっと笑顔だったエリックの顔が、急に真剣になった。
緊張しているのか、胸に手を当てて大きく息を吐いている。
「俺、最初にアメリカに発つとき、本当は連れて行きたかったんだ。だが、あのときはまだ高校生で。連れて行くのはとても無理だった」
「そうだったの?あのとき、そんなことを考えていたの?」
「あぁ、身を切る思いで諦めた。だが、離れて分かったんだ。エミリーなしでは居られないことが」
エリックはポケットから小さな箱を取り出し、エミリーの前に差し出して開けた。
中には煌めくダイヤの指輪が一つ入っていた。
「エリック、これは―――」
「俺の月収3ヶ月分」」
「え?何言ってるの?」
「ほんとうにお前は、相変わらず鈍いな。まぁ、そこが可愛くて好きなんだけど」
エリックは透き通るほどに美しい手に、指輪の箱を乗せた。
瞳はずっと真剣なまま、アメジストの瞳を捕えて離さない。
「エミリー、愛してる。俺にはお前しかいない。俺と一緒にアメリカに行ってくれ」
「エリック・・・」
アメジストの瞳が戸惑いの色で染まり、エリックの瞳を見つめている。
エリックの顔が緊張の色から解放され、フッと小さく息を吐いた。
エミリーは俯き、指輪を見ながら、言葉を探していた。
今までいろんな人に求愛されてきたけれど、エリックの言葉が一番現実味を帯びて心の中に響いてくる。
「あの、わたし・・・」
「待った。返事は今すぐでなくていい。俺さ、向こうで大きな仕事を一つ終えて来たんだ。今は休暇を貰ってこっちに帰ってきてるんだが、向こうに戻れば間違いなく昇進している。お前一人くらい、何の不自由なく養うことが出来る。だから、俺についてきてくれ」
天使の力が宿ったことは省き、アランのことは王子様で大好きな人だったと説明した。
「そうか・・・そんな場所に―――でも、良かったな・・・帰って来られて。御両親の心配してる様子は、辛くてとても見ていられなかった」
「そうね・・・。ほんとうに良かったわ」
そう、これでいいの。わたしの在るべき世界はここだもの・・・。
「兎に角エミリーが無事に帰ってくれて良かった。でないと、俺の心が行方不明になったままになってしまうところだった」
「エリック、何かあったの?」
部屋に入ってきてからずっと笑顔だったエリックの顔が、急に真剣になった。
緊張しているのか、胸に手を当てて大きく息を吐いている。
「俺、最初にアメリカに発つとき、本当は連れて行きたかったんだ。だが、あのときはまだ高校生で。連れて行くのはとても無理だった」
「そうだったの?あのとき、そんなことを考えていたの?」
「あぁ、身を切る思いで諦めた。だが、離れて分かったんだ。エミリーなしでは居られないことが」
エリックはポケットから小さな箱を取り出し、エミリーの前に差し出して開けた。
中には煌めくダイヤの指輪が一つ入っていた。
「エリック、これは―――」
「俺の月収3ヶ月分」」
「え?何言ってるの?」
「ほんとうにお前は、相変わらず鈍いな。まぁ、そこが可愛くて好きなんだけど」
エリックは透き通るほどに美しい手に、指輪の箱を乗せた。
瞳はずっと真剣なまま、アメジストの瞳を捕えて離さない。
「エミリー、愛してる。俺にはお前しかいない。俺と一緒にアメリカに行ってくれ」
「エリック・・・」
アメジストの瞳が戸惑いの色で染まり、エリックの瞳を見つめている。
エリックの顔が緊張の色から解放され、フッと小さく息を吐いた。
エミリーは俯き、指輪を見ながら、言葉を探していた。
今までいろんな人に求愛されてきたけれど、エリックの言葉が一番現実味を帯びて心の中に響いてくる。
「あの、わたし・・・」
「待った。返事は今すぐでなくていい。俺さ、向こうで大きな仕事を一つ終えて来たんだ。今は休暇を貰ってこっちに帰ってきてるんだが、向こうに戻れば間違いなく昇進している。お前一人くらい、何の不自由なく養うことが出来る。だから、俺についてきてくれ」