シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
書斎の窓の外から歌うような小鳥の囀ずりが聞こえてくる。
最近よく聞くが、なんという鳥なんだろう。
こんな囀りは今まで聞いたことが無い。
もしかしたら新種の鳥かもしれないな・・・。
よし、今度動物学者のリリィに聞いてみるか。
鳥の囀ずりとエミリーの笑い声にたっぷりと癒されたジャックは、伸びをして再び机に向かった。
「さて、もうひと頑張りするか」
パソコンに向かい、キーボードをたたき始めた表情はもう仕事の顔に戻っていた。
たまに書類を見て考え込み、指がしなやかにキーボードの上を這っていく。
「えっと、あれは何処にやったかなぁ・・・」
ジャックの手が、机の上の本を上げたり下げたりしている。
「あぁ、あったあった」
―――ガタッ・・ガタン!
・・・・スタッ!ドサッ!・・・スタッ!
突然の物音に驚いて振り返ると、そこにいたのは、窓から突如入ってきた3人の男。
二人は鮮やかに着地を決めたが、一人だけ大きな鞄を抱え、尻もちをついていた。
鋭い瞳をもった人が手を引いて助け起こしながら、不機嫌そうな表情をしていた。
起こされた方はずれた眼鏡を直し、苦笑いをしながら痛そうにお尻をさすっている。
「大丈夫ですか?だからあなたは待っていた方がいいと言ったのです」
「いやいや、未知の場所です。何があるか分かりません。体に異変が起きたとき、対処できるのは私だけですから。心配で待ってなどおれません」
一番最後に入ってきた人物はこの中で一番偉そうで、眉を寄せて二人の様子を見ていた。
口をあんぐりと開けたまま三人を凝視しているジャック。
手に持っていた書類がパサッと床に落ちた。
そんなジャックを気にした様子で、一番偉そうな人物が二人を軽く窘めた。
「騒がしい―――此方に大変迷惑をかけておる」
「これは―――お騒がせ致しまして、大変申し訳ございません」
眼鏡をした人の方は居住まいを正して丁寧に頭を下げた。
もう一方の人は目を見開いたままのジャックに近づき、丁寧に頭を下げた後、眼光鋭く口調もそのまま鋭く聞いてきた。
「失礼致します。此方はエミリー・モーガン様の屋敷に相違御座いませんか?」
ジャックは見開いていた目と口を元に戻し、3人の姿をもう一度見た。
物語から抜き出てきたような異国風の姿。
もしや、この方々は―――?
「はい・・そうですが・・あなた方は―――?」
一番偉そうな人物が流麗な所作で頭を下げて挨拶をした。
「失礼致した。我が名はアラン・ランカスター・ギディオン。そなたは、エミリー・モーガン嬢の父君とお見受け致す―――」
最近よく聞くが、なんという鳥なんだろう。
こんな囀りは今まで聞いたことが無い。
もしかしたら新種の鳥かもしれないな・・・。
よし、今度動物学者のリリィに聞いてみるか。
鳥の囀ずりとエミリーの笑い声にたっぷりと癒されたジャックは、伸びをして再び机に向かった。
「さて、もうひと頑張りするか」
パソコンに向かい、キーボードをたたき始めた表情はもう仕事の顔に戻っていた。
たまに書類を見て考え込み、指がしなやかにキーボードの上を這っていく。
「えっと、あれは何処にやったかなぁ・・・」
ジャックの手が、机の上の本を上げたり下げたりしている。
「あぁ、あったあった」
―――ガタッ・・ガタン!
・・・・スタッ!ドサッ!・・・スタッ!
突然の物音に驚いて振り返ると、そこにいたのは、窓から突如入ってきた3人の男。
二人は鮮やかに着地を決めたが、一人だけ大きな鞄を抱え、尻もちをついていた。
鋭い瞳をもった人が手を引いて助け起こしながら、不機嫌そうな表情をしていた。
起こされた方はずれた眼鏡を直し、苦笑いをしながら痛そうにお尻をさすっている。
「大丈夫ですか?だからあなたは待っていた方がいいと言ったのです」
「いやいや、未知の場所です。何があるか分かりません。体に異変が起きたとき、対処できるのは私だけですから。心配で待ってなどおれません」
一番最後に入ってきた人物はこの中で一番偉そうで、眉を寄せて二人の様子を見ていた。
口をあんぐりと開けたまま三人を凝視しているジャック。
手に持っていた書類がパサッと床に落ちた。
そんなジャックを気にした様子で、一番偉そうな人物が二人を軽く窘めた。
「騒がしい―――此方に大変迷惑をかけておる」
「これは―――お騒がせ致しまして、大変申し訳ございません」
眼鏡をした人の方は居住まいを正して丁寧に頭を下げた。
もう一方の人は目を見開いたままのジャックに近づき、丁寧に頭を下げた後、眼光鋭く口調もそのまま鋭く聞いてきた。
「失礼致します。此方はエミリー・モーガン様の屋敷に相違御座いませんか?」
ジャックは見開いていた目と口を元に戻し、3人の姿をもう一度見た。
物語から抜き出てきたような異国風の姿。
もしや、この方々は―――?
「はい・・そうですが・・あなた方は―――?」
一番偉そうな人物が流麗な所作で頭を下げて挨拶をした。
「失礼致した。我が名はアラン・ランカスター・ギディオン。そなたは、エミリー・モーガン嬢の父君とお見受け致す―――」