シャクジの森で 〜月夜の誓い〜【完】
本棚in御礼 おまけの話 〈初夜〉
「エミリー、疲れたか?」
「えぇ、少しだけ。でも、平気です」
結婚式のあと、途切れなく来城する各国からの使者や御三家、それに各地区代表の貴族方からの御祝いの言葉や贈り物を受け取り、謁見室でずっと立ったまま挨拶をしていた二人。
アランは全く平気だが、エミリーは慣れないことで、脚がパンパンに張ってしまっていた。
実は少し動くだけでも、ふくらはぎの筋肉が悲鳴をあげている。
「先程、歩き方が少し変であった。もしや、脚が痛むのか?フランクを呼ぶか?」
「少し痛みますけど、大丈夫です。こんなに夜遅くに、フランクさんに悪いわ。わたしなら大丈夫ですから」
エミリーはソファに座って、ふくらはぎをそっと擦った。
「見せてみよ」
「ぇ・・?アラン様・・ん・・・ぃっっ―――」
「全く・・・」
痛みに顔をしかめるエミリーの様子を見て、ふくらはぎに優しく触れているアランの眉がどんどん寄せられていく。
ふくらはぎから手を離して、無言でエミリーのドレスのファスナーに指をかけた。
「ぁ、アラン様?あの・・・」
「黙っておれ」
抵抗しようと、あたふたと動き回るエミリーの手を器用に避けて、手際よくするするとドレスが脱がされていく。
「アラン様・・・っ・・ん・・・」
「黙っておれと申したであろう」
「でも、灯りが・・・明るくて、あの・・・ん・・」
文句を言おうと口を開くと、すかさず塞がれてしまう。
ドレスもとうとう腰まで脱がされてしまっている。
上半身はすでに下着のキャミソールのみ。
結婚はしたけれど、もう身体は何度か重ね合わせてるけど、こんなに明るいとやっぱり恥ずかしい・・・。
俯いていると、腰に手が当てられ、身体をひょいっと抱き上げられた。
腰まであったドレスがすっぽりと抜け、完全に下着姿になったエミリー。
そのまま抱えられてスタスタと運ばれていく。
行き先は、当然シフォンのカーテンの中―――とエミリーがドキドキしながら覚悟していると、アランはそこをすんなり通り過ぎていく。