これが私の旦那サマ!

「園長先生!!お茶飲んでる場合じゃないですよ!」

どういう事なんですか!と大声で叫ぶと園長先生は私を見て何やら手紙のような物をテーブルに置いた。


「これをご覧なさい。」

「え・・・」

恐る恐る手紙を読むとそこには

北村宗一郎の孫、北村百合と西島晃太郎の孫、西島晃一。二人の婚姻を此処に誓う。

そう書かれておりご丁寧に血印まで押されている。

「この北村宗一郎って・・・」

「君のお祖父さん。この西島晃太郎は僕のお祖父さん。二人、親友だったんだってさ。」

「私のお祖父さん・・・」


知らなかった・・・私にお祖父さんがいたなんて、だってお父さんもお母さんも身寄りが無いって・・・だからお父さんもお母さんも死んじゃった私は天涯孤独なんだってずっと思ってた・・・なのにお祖父さんがいたの・・・?

「君のご両親は駆け落ちしてね、双方の両親から勘当されたんだよ。だから君が知らないのも無理はない。」

「でも、そしたらこの契約書も無効になるんじゃ・・・」

「うーん、僕もそう思ってたんだけど君の父方のお祖父さんはずっと両親を亡くして施設に入った君を気にしていらしたらしくてね。」

「・・・それで?」

「この前、僕に君を託したんだ。孫を頼む、って。」

「お祖父さんは・・・」

「先週亡くなったよ。心臓を病んでいらしたらしくてね・・・亡くなる直前まで君の事を案じていらしたよ。」


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