美味しいプライド

でさ、その後すぐ陽君から電話がかかってきたんだけど、そんなのあたしじゃなくったって半端無く怒るでしょ？
「なんなの？なにがしたい訳？どういう趣向でわざわざ誕生日にあんな下品な女はべらせるわけ？あのレベルの女達とお誕生会したいんだったら初めから、地元のキャバクラにでも行けばいいじゃない！」
陽君は当然謝ったよ。
謝って必死で釈明してた
本当の事を言ってたんだろうね多分。
地元の女友達にあの店を教えたらわざとあんないやがらせをされた。俺の意図していた事ではないけど、俺のせいでかなえちゃんがいやな思いをしたのは本当に申し訳無い。って。
私、余計逆上しちゃった。いやがらせされるなんて、その女ともなんかあったって事じゃん？
「そもそも態度もマナーも大人として非常識だし下品だよ。あのレベルの場末のキャバクラがお似合いな人たちを、私や由美がお気に入りの大事な空間に侵入させて、空気汚さないで。あんな女達と付き合いがあるなんて、陽君のレベルも知れるってもんだよ。」
って。
その時は陽君はひたすら謝ってたよ。
何言われても、ごめん、俺が悪かった、ごめん、俺が悪かった、って。
でさ、その日はムカついてるからそのままガチャ切りして、家に帰ったんだ。
着信拒否もしてやった。そのまま和美さんの所に戻るなんて考えなかったよ。だって、酷い醜態だったし、正直ちっとも綺麗じゃなかったから、そんな風には頭が回らなかった。
それなのに、1週間くらい良ちゃんなんかと暇つぶししてさ、でもやっぱり陽君が気になるから、そろそろ電話に出てやるか、って電話に出たらさ、
「申し訳ないけど和美とやり直したい」
って言うじゃない？もう、意味わかんないよ。