美味しいプライド

陽君、付き合っている間は本当に、生まれつき私の召使だったんじゃないかって思うくらい、大事に大事にしてくれたんだよ。
2人っきりでいる時も
「俺もう死ぬかもしれない、こんな可愛い子が俺の腕の中にいるなんて、怖くなるよ。運を使い果たして俺ほんと、早く死ぬかも。」
って。
手を握るだけでも、
「かなちゃんの手、触っていい？」
って、跪きそうな顔でお願いするんだよ。
「ガキの頃にマンガとか読んでて憧れてた、妄想ってあるじゃん？アイドル並に美人で、お嬢様で、優しくてピカピカに清純な女の子が、陽君だけ大好き
！って俺に抱きついてくるんだ。おたくくさい夢だけど、男ってずっとどこかにそんな願望をもってるんだ。今俺はそんな夢を実現してるんだぜ。もういいおやじがさ。いい年して頭に血がのぼりっぱなしだよ。」
とか言ってさ。
それなのに、
「悪いけど和美に戻りたい」
なんて何なのよ？って思うじゃない。
そりゃ、まだ手出されたわけじゃなけどさ。
クーリングオフ期間じゃないんだから、だいたいどんなもんか分かったし、使ってないので返品しますなんてあり得なくない？
当然、呼び出して問い詰めたよ。
そしたらさ、始めは、ごめん、ごめんね、何とでも言ってくれって、それしか言わないんだよ