俺様王子にご注意を

─────

「ただいまー。」

「あら、玲奈ちゃん帰ってきたみたい。
おかえりなさいーっ。」

母さんはつまんでいたせんべいを
皿に戻して玄関にむかう。
それを確認して俺はこっそり
自分の部屋に行った。

今はなんだか玲奈の顔は見たくないから。
それに...今日のは、何だったんだ。

─トントン
気を紛らわそうとスピーカーに
手を伸ばすとドアがノックされた。

「...母さん?」

「私だよ?入ってもいい?」

─ガチャッ

「...もう勝手に入ってるだろーが。」

「へへっ♪いーじゃん。...和也
どうしたの.....?」

「...会ってきたよ。」

「あ..そっそっか。で...どうだった?」

玲奈は俺の机の前にある椅子に
座って回っている。

「...色々話した。これからのこととか。
...いい人だったよ。」

「良かったね。」

玲奈はにっこり笑った。
その無邪気な笑顔に俺の心は
ズタズタにされるような気がしていた。

「あ、和也どうするのー?」

「何が?」

「...再婚の...こと。」

モジモジしながら玲奈は言う。

「...まだ決めたわけじゃねえけど...
いい人だったし...ありかなって。」

「そっか。」

玲奈は少し寂しそうに肩を落として
笑った。
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