俺様王子にご注意を
□未来の迷い
数日前のことだ。
「あ...コホン...和也くん。大事な話を
したいんだけど...いいかな?」
西本と玲奈がいたカフェで
俺も楠木さんといた場所でのこと。
「あ...はい。」
玲奈たちのことが気になって
話に集中できなかったけど
あれだけは覚えているー。
「何ですか?」
楠木さんが中々喋りだそうとしないから
俺が問いかけた。
すると楠木さんは母さんを一度見て
頷いてから喋りだした。
「...僕とキミのお母さんの結婚を...
もし、認めてくれるんだったら...
ここから離れて暮らさなければ
ならなくなるんだ。」
「...は?」
「和也、口のきき方ダラしないわよ!」
母さんは途中で俺のことを睨んで
きていたがそんなのは全然
気にしなかった。
「僕は...1月の中旬に転勤することに
なっているんだ。それで...
もし結婚を和也くんも認めて
くれるなら...着いてきてほしい。
これから家族3人で暮らしていきたいって
思っているんだ─。」
頭がついていかない。
ここから離れる?一体どこへ?
もうここへは戻ってこれない?
聞きたいことがいっぱいある。
分からない事がいっぱいある。
けどこれだけは分かる。
結婚を認めたら、玲奈と離れ離れに
なってしまうこと。
「それは...いつまでに決めなければ
ならないんですか?」
「...年内までには決めてほしい。
もしよければ籍もすぐに
入れたいと思っているんだ。」
母さんの幸せをろつか自分の幸せを
とるかってこと─。