俺様王子にご注意を
寂しがりやにご注意を
■決意
和也Side
「はいはいっ。分かってますよ~。
玲ちゃんっ♪」
だんだん子犬も俺たちに
なついてくるようになった。
だけど子犬を見ると玲奈との
タイムリミットを思い出す。
少し胸の奥が痛くなるのは
...時間が近づいているから?
あの日から玲奈とは色んな場所に
出かけた。
思い出を作ろうって...。
水族館に遊園地。
動物園。ショッピングまで。
玲奈の憧れの図書館デートまで
付き合った。
─トントン ガチャッ
俺がまだ何も言ってもいないのに
玲奈はいつも勝手に部屋に入ってくる。
「和也っ♪映画見に行こうっ♪」
「はあ?もう金ねえっつーの。」
先月と今月でいくらつかったのか
分からない。
恐ろしくてサイフさえ中々見れねえ。
「...試写会当たったんだけどな~。」
「...行くか。」
─でも...映画は面白いどころじゃなかった。
って...ホラーじゃねえかよっ!
「玲奈、寝てるから終わったら起こして。」
「えええっ!?せっかくタダなのに
勿体無いよっ!見ようよ。あっ、もしかして
和也怖いの?」
「はっはあ!?怖いもなんもねえよ!」
でも...この映画はちょっとやべえだろ。
「じゃ、ちゃんと見てようね♪」
玲奈は怖がるどころか楽しんで見ている。
周りのカップルを見ると彼女が彼氏に
抱きついたりしてんだけどな。
なのに玲奈は、まったく怖がらねえ。
しばらくして横目でチラッと玲奈を見た。
「っ...?」
玲奈の目からはうっすら涙が
うかんでいた。
何で...?