俺様王子にご注意を
俺様王子にご注意を
■それぞれのクリスマス
和也Side
「じゃ、向こうで待ってるよ。」
楠木さんを空港で母さんと見送った。
楠木さんは先に行って家を
確認してくれたりするらしい。
荷造りも完了していて俺達も
もうすぐにいける。
「さ、何暗い顔してんのよ。
クリスマス楽しみなさいよ~。」
母さんは後ろから俺の背中を強く叩いた。
「.....ああ。」
俺は楠木さんが乗っていった飛行機をだまって
見えなくなるまで見つめていた。
─────
「ん?ああ、今行く。」
玲奈は今日から元の家に帰る。
今日は引越しってカンジ。
来年の4月に玲奈の母さんが帰ってくる
らしくそれまで1人暮らしだとか。
俺は携帯を切って玲奈の家のチャイムを
鳴らした。
─ピンポーン
─ガチャッ
すぐにドアが開いた。
中からは髪をだんごにまとめた玲奈が
顔を出した。
「あ、和也。ほんと早かったね。あがって。」
「おう。」
玲奈の家になんてあがったことなんて
なかったから少し新鮮。
「ほらほら。入って、ちょっと汚いけど。」
そういったわりにはもう部屋も
整っていて俺が手伝えそうなことは
何一つなかった。