俺様王子にご注意を
「和也ぁ!」
和也は私を抱きしめた。
たったの1、2秒くらいだったけど
私にはそれが永遠のようだった。
和也は電車に乗り込んだ。
ドアが閉まりだす。
何を言えばいいのかわからないわたしは
和也の名前をただただ呼び続ける。
「玲奈、お前と出会ってよかった。」
─バタンッ
電車が閉まった。
電車はゆっくりスピードをあげて
走り出す。
和也をさらっていく。
私は必死で電車をおいかける。
「和也ぁ.....。」
いっちゃう。和也が。やだ。でも...
「行ってらっしゃい。」
「玲奈っ!」
和也が窓から手をだした。
私は走った。全力で走って...
和也の差し伸べた手にふれようとした。
『俺の言う事を何でも聞け。』
あんなにわがままで...最低だけど...
私はあなたと出会って強くなった。
『1人で泣くのはやめろ。』
いつでも和也は...私の味方だったね。
『好きだ。』
全部...全部夢みたいだけどリアルだった。
『嫌いになる理由なんてねえよ。』
いま...飛び立つ。
「和也っっ!」
指が触れただけだった。
けど.....そこから和也の手から...
愛を感じた。
「ふえっ.....。」
見えなくなった電車。
「行ってらっしゃい...。」
私はそう...線路に呟いた