シスコン王子とブラコン姫

クジを引くと1番前の席になってしまった。

はあ...。悟は何番なんだろう??
チラッと横目で見ると悟は1番後ろの席になっていた。
1番前と1番後ろ...。
遠い私たちの距離─...。どんどん私たちの距離は遠ざかっていく。

「じゃーな。沙菜。」

「今までありがとっ。」

私は重たい机を持ち上げて1番前まで運んだ。
悟の周りの席の女子が嬉しそうに悟に話しかける。悟はそれに笑いかけている。
なんで─...。そんなに楽しそうに笑うのよ...。
あんな笑顔見たことないよ.....。
私にはみせない笑顔。みせたことがなかった笑顔。
そんなにいやなんだったら...そんなにいやなんだったら─...

『川崎っっ!』

もう...私なんて...

『川崎っっ!』

「わわわわっ...はっはい?!」

「悪いんだが...1番後ろの仲澤が黒板が見えないようだから...変えてもらえるか??」

「へ...??」

1番後ろに反応して悟の隣の席をみるけどそこは仲澤さんじゃない違う女の子だった。

「ほら、仲澤はそっちの─...。」

ああ。そっか。悟は窓側だけど私はドア側か─...。

距離なんて全然縮まるどころか何も変わらないよ...。

「いいか??」

「はい。」

ついまた作り笑いをしてしまう。

重たい机を持ち上げて私は、ドア側の1番後ろまでゆっくり進む.....。

『ごめんね。ありがとう』

仲澤さんは申し訳なさそうに私にそういった。

「いいの、いいのっ。」

私はまた作り笑い。本当の笑顔ってなんなんだろう.....。
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