シスコン王子とブラコン姫
「.....ごめんなさい。」
「.....え?」
なんで─...謝っているんだ?
「明日は...すごく大切な日なの。だから
ごめんなさぃ.....。」
沙菜の声は震えていてとても小さかった。
なんでそんなに謝って頭下げるんだよ。
「そっそうかー。ははっ、まあ仕方がねーじゃん。チケット沙菜にやるからさ。好きな日に好きな奴といけよ。」
沙菜がチケットを受け取って
違う日に誘ってくれることを俺は期待
していたのかもしれない.....。
「ううん、いらない。悟が好きな人と
行ってきて。ほらー、隣の席の女の事
早速仲良くなってたじゃん?すごいよねー。
そうだよっ。あの子可愛いし悟とお似合いだしいいんじゃないかなー??ははは.....。」
「.....沙菜だってそうだろ。」
「...何が?」
「お前だって隣の奴と楽しそうに話していたじゃん?お前らのほうがお似合いだと思うけどなー.....。だからさっさと受け取れよっ!」
俺...なんでこんなにイライラしているんだ...。
「いいってば!」
「ほら!...っ!?」
「...ウッ...いらなぃ.....。私...なんもいらないっ!」
バタンッ...
強くドアが閉まる音が聞こえた。
目の前には沙菜の姿はなく─...
俺1人だけだった。
沙菜のあの泣き顔が目にやきついて...
目をとじても沙菜の顔がずっと
うかんできて─...。
どうしようもなかった。