シスコン王子とブラコン姫

「意地悪ね─...。」

そう姉ちゃんが言い終わる前にドアが
開いていた。

「.....答えてもらってないんだけど。」

「私も入っていいのか答えてもらってない。」

「勝手に入ってきたじゃねーか。」

「だめだった?したら出てく?」

「っ─...別にいい。んで何?」

姉ちゃんは黙ったままゴミ箱の中のチケットをずっと見つめていた。

「あ─...沙菜いけねえって。せっかくチケットくれたのにごめんな。姉ちゃんやっぱ裕也と行けば?」

「.....ごめんね。」

「は?」

どうしてみんなすぐ謝るんだよ.....。

「チケット...あげてごめん。」

「なんで...謝るんだよ...。」

「私...最低な事したの。」

「...どういうこと?」

「明日は...裕也と沙菜のお母さんの.....命日...なんだって。」

「...命日...?!」

沙菜...母さんがいなかったのか...?

「今日知って...さ。ごめんね。悟。私が最初からちゃんと知ってれば...。」

だから...沙菜はあんなに明日の事に
少しでもかかわる事1つ1つに
嫌だったのか─...だからあんな悲しい
顔なんかしたのか.....。

「悟...あのさ『綾乃!悟!ゴハンよっ!』

「いっ今いく...!...姉ちゃん。もう...いいからさ。謝ることじゃねーんだし。」

「でも...っ─...。」

姉ちゃんが喋りだしているのに俺は
部屋から出て行ってしまった。
何も聞きたくなかったから。
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