シスコン王子とブラコン姫
「お母さん─.....来たよ。」
毎年...毎年このお墓の前に立つと
自然と涙がでてくる.....。
「お母さん─、会いたいょ...。会って聞いてほしいこと...たっくさんあるんだ...ょ?ウッ.....お母...さん。」
私は、そのままお墓の前に座り込んだ。
「沙菜─.....。」
後ろからお父さんとおにいの声が聞こえた。
こんな姿見せちゃだめ!
わかってる。けど涙は止まらない。
まぶたがすごく熱い。
「母さん.....ちゃんと見てるよ。」
おにいは、後ろから私の背中を撫でてくれた。
「うん、うん─...。」
何年経ってもこの傷は癒されない。
私たちの心の穴をうめる事はできない。
だから頑張ってうめていかなきゃ。
傷を癒していかなきゃ。
家族のために─.....。
──────
「じゃ、行くか。」
「うん─.....お母さん、ばいばい。」
手を振って私たちは車に乗った。
そしてこの後は、毎年お墓に行った帰りに寄る
ファミレスによるんだろう。
お父さんがいつも私たちに好きなものを
食べさせてくれる場所。
ファミレスは大好きだけどあそこのファミレスは
どうしても行くのが楽しみにはなれない。
だんだんファミレスが見えてきた。
でも─.....。
「あれ?お父さんどこいくの?」
車はファミレスを過ぎていった。
「どこだろうなー.....。」
「え??」
おにいも驚いた様子は全くなかった。
私に秘密でどこいくのよっっ!