シスコン王子とブラコン姫
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「ただいま.....。」
「あ...悟。おかえり。」
姉ちゃんはめずらしく玄関まで
出てきた。
「お母さん...「仕事だろ?」
「...うん。」
「沙菜...とどうだった?」
きっと裕也から聞いたのだろう。
俺もいきなり飛び出していったしな。
「別に。」
「っ!別にってなによっ。」
「.....。」
「ねえ、悟っ。」
「.....。」
「辛いのは...あんただけじゃないんだよ。」
俺は姉ちゃんを無視して部屋に
とじこもった。
そしてそのままベッドに腰掛けて
部屋をぼんやり見渡した。
辛いのは俺だけじゃない...。
わかっているよ。そんなの。
沙菜は─...ほんとに俺のこと...?
─トントン
「.....しつけえよ。」
「悟...あのさ...「おしまい。」
「.....え?」
「お試し恋愛は...終わりだよ」
「...それを...それを終わりにしないようにできなかったの?」
「できなかったからこうしているんだよ.....。」
「.....沙菜が可哀想だよ。」
「.....。」
『.....沙菜が可哀想だよ。』
可哀想...?