シスコン王子とブラコン姫

けど...沙菜は俺から逃げるように
素早く教室から出て行く。
俺はそれを必死においかける。
つかまえたい。つかまえたい。
この手で─.....

「沙菜っっ!!」

沙菜の手首をギュッと握る。

「離してよっっ!」

「離したくねえよっ!」

「何でよっ!?ばかなのっ!?」

ばか.....。
そんなの最初から分かってる。
だからこうすることしか
できねーんだよ。

「...うん、ばかだよ。」

「は.....?!」

沙菜なら俺のことばかにでもしていい。
あほだと思ってもいい。
けど...嫌いにだけはならないでほしい。
最低な男だって...
思われたくないんだよ。

「沙...菜?」

沙菜の円らな瞳から涙が
あふれてきた。

「ひどいょ.....。悟の...ばか。」

「.....///?」

唇に暖かい感触が...残ってる。
なんでこんな近くに沙菜の顔が?
なんで沙菜は背伸びしてるんだ?

「油断しすぎだから...こうなるんだよ。悟ばーか///」

沙菜の顔が...赤い。

「何...したの?///」

なんとなく分かるけど聞いてしまった。

「悟そんなに赤くなってんのに聞くの!?ほんっと最低だよっ!///」

「ちょっ...待てよ!」

沙菜はどんどん先に行ってしまう。

「沙菜!怒ってんの!?」

絶対怒ってるよ...な?
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