シスコン王子とブラコン姫
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「ねえ、花火しない?」
うららちゃんが急に言い出した。
「いいねーっ。」
綾乃もノリノリで言った。
「じゃあ、じゃんけんで負けた人2人が
花火買いにいくか。」
おにいは腕まくりをしながら勝った様な
顔で言う。
『最初はグー。じゃんけんポンッ。』
あ.....
負けたのは私とうららちゃんだった。
「よし、行って来ーい。」
綾乃は私とうららちゃんを追い払うように
家からだしてドアをすぐ閉めた。
「じゃあ...いこっか?」
「うん。」
─ガチャッ
後ろでドアが開く音がして見ると悟が
懐中電灯を持って居た。
「どうしたの?悟ちゃんじゃんけん
勝ったじゃん?」
「ああ...女だけだとあぶねえってばあちゃんに
言われてさ...来てみた。」
悟はこういうとこがあるからモテるんだよね。
「それに...コンビニどこかわからねえだろ?」
悟が先頭になって私たちは歩く。
夜道はやっぱり怖いな。でも風邪が少し冷たくて
気持ち良かった。
「よくねー悟ちゃんとこの道歩いたよね。
手つないでさー。楽しかったなー。あの頃に戻って
時間がずっと止まってればいいのにー。」
うららちゃんは笑いながらいう。
「何だソレ。」
悟は分かってないね。うららちゃんがどんな思いで
この一言を言ったかが。
もし悟たちが小さい時に時間が止まっていれば...
私はこの2人の中にはいなかった。