シスコン王子とブラコン姫
鈍感彼氏
「花火買って来たけど.....。」
ずっと無言のまま帰ってくると
おにいと綾乃は抱き合って
キスをしていた。
「のっ覗き見さいてーっ!///」
「空気よめよ!ばーか。」
おにいと綾乃は私達の事を睨む。
けど.....庭の真ん中で堂々と
キスしている2人も悪くない...?
「ま、いいから花火やろ♪」
うららちゃんは何事もなかったように
袋から花火をだす。
「沙菜ちゃん。これ持ってて。」
「あ...はぃ。」
「あ、敬語はだめだってばー♪」
「へへ...ごめんなさい。」
うららちゃん...どうしても悟だけは
誰にも譲りたくない。
けど...うららちゃんの小さな後姿を
見るのが苦しい。
今日出会ったばかりなのにこんなに
私に優しくしてくれて─.....
「はぁー、いいな。みんなはこんなに自由に
遊べちゃってさ。私なんてすっごいお願い
していまみんなと遊んでるんだよ。
私、箱入り娘だからさ。どうせ政略結婚
とかだろうし.....みんなが羨ましい。」
うららちゃんは花火に火をつけながら
言った。
そしてまたこう続ける。
「私ね、海外行かされてさあ...
もうすっごい疲れたんだ。経験をつめ。
とかさ...世界は広いんだ。とか色々
言われてしょっちゅう旅行に行かされた。
けどさ、世界ってこーんなに小さいんだなって
思った。私にとってはこの悟のばあちゃん家の
お庭のほうがずっと広いよ。わっ。終わっちゃった。」
うららちゃんの線香花火がすぐに
消えちゃった。
うららちゃんの花火が消えて
ほとんど真っ暗。
「私も自由に生きたいな。」
最後に小さな声でうららちゃんは
つぶやいた。