シスコン王子とブラコン姫
「じゃ、行こっか。悟ちゃん。」
「...ああ。」
沙菜のほうをチラッと見ても沙菜は
俺から目を反らした。
沙菜たちが見えなくなってからうららが
口を開いた。
「悟ちゃん。ごめん。私、仕組んだの。」
「...何を?」
「...貝殻。ほんとは7つ用意してた。
2つハズレって書いたのこっそり
持って...悟ちゃんが最後だったから
残りのハズレって書いてない2つを
捨ててハズレを悟ちゃんに渡した。」
「...なんでそんな事...「分かる?」
うららは両手で俺の顔を触る。
「悟ちゃん、ほんとは気づいてる。
私の気持ち.....。」
「...何が?」
急に寒気がした。
「私...この間のほんとの気持ち。
幼馴染としてじゃない。1人の男として
悟ちゃんのことずっと...見てた。」
「っ.....。」
うららの真っ直ぐな目が痛い。
何もかもお見通しのようで怖い。
「悟ちゃん。私ね、これで最後だと
思うんだ...。」
「何が?」
「もう...日本には戻って来れないよ。」
「は.....?」
うららの目から大粒の涙がこぼれた。
「私の...パパと...ママ離婚...するの。
ママの浮気。私...パパに日本から
帰ってきたら婚約者に会うようにって
言われているんだよ。」
婚約者...?たしか小さい時うららが
1度だけ会ったと言っていた...。