シスコン王子とブラコン姫

沙菜Side

「じゃあ、今までありがと。
また来るね。」

「...ウッ...うららぢゃあ...ん。
帰らないでええ...。」
綾乃は号泣で私に抱きついてくる。

「大丈夫だってばー。また来るから?
ね?沙菜ちゃん。」

「...はい。」

昨日の事を見てからうららちゃんを
まともに見る事ができない。
悟と何を話していたのかも
聞こえなかったけどこんなに
満足してうららちゃんが
帰るってことは...きっと
何かあったに違いない。

「じゃ、綾乃号泣してるからさー、
彼氏さんと沙菜ちゃんは家に
いていいよ?私は悟ちゃんにホテルまで
おくってもらうから。」

「...分かりました。」

どうして悟とそんなに2人に
なろうとするの?
悟はどうしてそれで黙ってるの?
そんなにうららちゃんが...
大切なの?

「俺も行きます。」

「「え...。」」

私とうららちゃんがハモった。
だっていきなりおにいが
ホテルまで行くって言うから...。

「だめっすか?」

「...ううん。いいよ。」

うららちゃんの顔が少し引きつった。
おにいは私のことをじっとみて
私のあたまをポンっと叩いて
家から出ていった。
そして玄関に残っているのは私と
綾乃とうららちゃん。
うららちゃんは私のことを
じっとみている。

「沙菜ちゃん。ごめんなさい。
許してくださいね。」

そう言って綾乃に見えないように
うららちゃんは自分の手首を
見せてきた。

「こっこれ─.....。」

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