シスコン王子とブラコン姫
悟Side
俺がホテルの一室に戻ると
うららが泣き喚いていた。
そして...おじさんが倒れていた。
そして...今、この状況。
まったく頭がついていかない。
なんで俺達は、今─...
病院にいるのだろう。
「悟.....。」
沙菜がコーラを2つ手に持って
俺に1つ差し出した。
「炭酸飲めねえんじゃなかった?」
「あ...そうだった...。
わかんないけど...まちがって
買っちゃった...はは...。」
沙菜は苦笑いをした。
でも俺は笑えなかった─...。
「...悟、今、私たちが出来る事は
ただ一緒に信じて願うことだけ
じゃないの?」
沙菜は俺の隣に座った。
「...信じても...だめだったら
どうするんだよ?」
こんな事を聞いたら沙菜が困るのは
分かっているけど動揺して
落ち着いていられない。
「...そんなこと考えちゃ...だめ。」
沙菜の手がすごく震えていた。
「沙...菜?」
「.....。」
沙菜の手の震えが全く止まらない。
「おい、大丈夫かよ!?」
沙菜の顔を見ると青白かった。
「おい、沙菜?」
全く沙菜の手が止まる気配がない。
それどころか震えがどんどん
大きくなってきている。
「沙菜?落ち着けよ。大丈夫だって。
な?沙菜?」
俺は力強く沙菜の手を握った。