シスコン王子とブラコン姫

悟Side

俺がホテルの一室に戻ると
うららが泣き喚いていた。
そして...おじさんが倒れていた。

そして...今、この状況。
まったく頭がついていかない。
なんで俺達は、今─...
病院にいるのだろう。

「悟.....。」

沙菜がコーラを2つ手に持って
俺に1つ差し出した。

「炭酸飲めねえんじゃなかった?」

「あ...そうだった...。
わかんないけど...まちがって
買っちゃった...はは...。」

沙菜は苦笑いをした。
でも俺は笑えなかった─...。

「...悟、今、私たちが出来る事は
ただ一緒に信じて願うことだけ
じゃないの?」

沙菜は俺の隣に座った。

「...信じても...だめだったら
どうするんだよ?」

こんな事を聞いたら沙菜が困るのは
分かっているけど動揺して
落ち着いていられない。

「...そんなこと考えちゃ...だめ。」

沙菜の手がすごく震えていた。

「沙...菜?」

「.....。」

沙菜の手の震えが全く止まらない。

「おい、大丈夫かよ!?」

沙菜の顔を見ると青白かった。

「おい、沙菜?」

全く沙菜の手が止まる気配がない。
それどころか震えがどんどん
大きくなってきている。

「沙菜?落ち着けよ。大丈夫だって。
な?沙菜?」

俺は力強く沙菜の手を握った。
< 187 / 283 >

この作品をシェア

pagetop