シスコン王子とブラコン姫
「...病室にはもう入れてない。
今...どうしているのか分からない。」
「何か聞こえたりしなかった?」
「分からねえ...。泣き声すら
聞こえねえよ。」
「そうか.....。」
裕也は姉ちゃんの背中を抱えながら
座った。
姉ちゃんはオロオロしながら
口を開いた。
「嘘でしょ...?まさかうららちゃん
1人に「そんなことにはさせねえよ。」
俺は強くそういった。
「でも「大丈夫だって。俺は信じてる。」
「...うん─。」
沙菜も口元を少しあげて
姉ちゃんの背中をさすっていた。
それから何時間か俺達は
ずっとこのまま座ったまま
一言も交わさずに黙っていた。
4人とも考えている事は一緒。
どうか助かりますように。
それだけ─.....。
「悟さまっ!」
後ろから声が聞こえて見ると
執事さんがいた。
「うららのお父さんはっ!?」
俺はすぐにそう聞いた。
「っ─...まだ目が覚めません。」
「そんな─.....。」
俺はGパンを握り締めた。
「お嬢様が...みなさんに会いたいと
言っています。病室まで顔を
出してきてもらえませんか─?」
「うららがっ!?うららはいま
大丈夫なんですか?」
「悟様たちがいけば...
お嬢様の心の支えになりますよ。」
執事さんはいつものように
やわらかい笑顔を俺達に見せた。