シスコン王子とブラコン姫
「あ...じゃっじゃあお願いします。
悟、私、先車に乗ってるよ。」
「あっああ。すぐ追いかけるから。」
俺はまたうららのほうをみた。
「悟ちゃん...ごめんね。」
「そんな弱そうな声だすんじゃ
ねえよ。大丈夫だって。」
俺はうららの頭を優しく撫でた。
「悟ちゃん...ほんとは...こんな事...
言いたくない...。けど...
お願いが...あるの。聞いてくれる?」
「ははっ。何でも聞くぞ。」
少し...嫌な予感がするのは...
気のせいなのだろうか...?
「あたし...悟ちゃんがいないと
だめみたいなの。」
「...は?...いや...その...だから
みんないつもうららのそばにいるよ?」
うららは俺の腕をぎゅっと握った。
「そうじゃない。...あたし...パパが
倒れて思ったの。もしパパが死んだら...
あたしも死ぬって...。でもね、悟ちゃんの
笑顔みたら救われた。...お願い。
私...どうしても1人になりたくない。
弱いの。あたし。だからそばにいて。」
「...それは...できない。」
俺はうららの手を振りほどいた。
「何で...?小さい頃約束したよね?
あたしたちは...ずっと大人になるまで
一緒にいるって。死ぬまで一緒だって。
約束したじゃないっ!」
「うっうらら。落ち着け。」
「いやだ。いやっ!あたし...怖いの。
夢もないし...誰も周りにいない。
悟ちゃん、みんながいるっていうけど
いないんだもんっ!どうせみんな
人事じゃないっ!」
うららは息をきらしていた。
「...うらら、俺はそんなこと
思った事ねえぞ?」
「え...?」
うららは顔をあげた。