シスコン王子とブラコン姫
「俺は...うららはすごく大事だ。
姉ちゃんみたいだし...時には妹のような
気がするし。うららが嫌いな
わけじゃねえよ?けど...
一生って...そういう風には
見れねえ...。ごめん.....。」
「は...ははは.....。」
うららは両手で顔を隠しながら
急に笑い出した。
「うら、ら?」
「最初から...分かってた。悟ちゃん。
ごめんね。今だから言わせて。
あたし...ほんとは、沙菜ちゃんの事
スキだけど嫌いだった。ほんとはね、
小さな意地悪してたんだよ。」
意地悪...?うららがそんな事をするなんて
全く考えられない。
「昔の思いで話したりさー、沙菜ちゃんに
謝っといて。ごめんなさいって。
そして...もうみんなの前には
現れないって言って。」
「はは...何だよ。ソレ。」
現れない...?意味が分からない。
頭がついていかない。
「さようなら。悟ちゃん。」
うららの右目だけから涙がこぼれた。
「うら...ら!?」
体が急にゾクッとした。
このままだとヤバい。
それだけが分かって体が震え上がった。
それと同時にうららは、クルっと
回って駆け出した。
「うららっ!?」
俺はそれを夢中でおいかけた。
けど周りには車椅子にのった人が
いておいかけづらい。
「うららっ!?」
うららはエレベーターに乗ってしまった。
エレベーターはどんどんあがって
1番上までいくようだった。
俺は隣にある階段を必死に
かけのぼった。