シスコン王子とブラコン姫

「うららっ!!」

屋上のドアを思いっきりあけた。

そこには小さくなったうららの姿が
あった。

「うら「来ないでっっ!」

俺は、それでもうららに
近づいて行く。

「分かるでしょっ!?来たら
どうなるかぐらい。今来ちゃだめ。
どうせあたしは1人になるんだよ?
だったら苦しみたくないもん。
いいじゃんっ!悟ちゃんには...
みんながいる...。沙菜ちゃんのそばに...
いてあげればいいじゃん。」

「...うらら。やめろよ。そんな事したって...
みんなが悲しむだけだろ?」

「あたしが消えて...悲しむ人がいる?
あたし...あたし...。」

うららの足がガタガタ震えている。
そして急に大きな風がふいた。

「うらら、あぶねえからこっち
来いよ。」

「悟ちゃん、本気にしてないね。」

うららは小さな声でそうつぶやいた。

「うら...ら?」

また俺の体がゾクッと震えた。
俺は声が出なかった。
うららの足が...1歩1歩前に小さく
進んで行く。

それ以上行ったら─

「うららっ!!」

「きゃあっ.....。」

俺は地面に張り付いたような足を
蹴り上げてうららを抱きしめたまま
こっちに引っ張った。

俺はうららの下敷きになった。

「やだ...悟ちゃんっ!大丈夫?
うそ...悟ちゃんっっ!」

俺の視界がどんどん...
暗くなっていった。
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