シスコン王子とブラコン姫
「綾乃...何で?何で?」
『...ごめん。とにかく今から
執事さんがそっちに向かってるから。
もうそろそろ着くよ...。じゃっ。』
「綾...乃」─ブチッ
何で...?どうして?
それから10分くらいして
車が止まった音が聞こえた。
─ピンポーン
「はっはーい...?」
玄関のほうまで向かうとおにいと
執事さんがいた。
「沙菜様...。落ち着いて...きいて
ください...。」
「何が...あったの?」
「沙菜。とりあえず中にいれよう。
さっ、入ってください。」
おにいは、落ち着いていた。
もうみんな知ってるの?
何で.....?
執事さんがソファに座って
おにいはすぐにお茶を持ってきた。
「おにい、それ温かいお茶だよ。
こんな暑いのに...。」
「あ、そうだった...。」
でもやっぱりおにいも動揺している。
「沙菜様...。お嬢様が...」
執事さんの手が震えてきた。
「なっ何?」
「お嬢様は...屋上から飛び降りようと
したんです...。」
「え─...?」
「それを...悟様が助けてくださいました。
ですが...下敷きになって─...。」
「悟が屋上から落ちたのっ!?」
「いえ、そういうわけではありません。
なんとか落ちませんでしたが...
頭をうってしまい─...。」
「目は...覚めてないの?」