シスコン王子とブラコン姫
「たったいま目が覚めたと連絡が
入ったところなんですよ。」
良かった─。
「ですが...お嬢様が...悟様と
離れたくないと言い出して...。」
「うららちゃん...が?」
「はい。お嬢様は大変弱い方です。
心が特に─...。」
うららちゃん...。
たしかずっと1人だったって
言ってたな─...。
「あの、それで」─♪♯♭♪♯♭
この着メロは...綾乃からだ!
私は執事さんのことを忘れて
携帯をすぐ手に取った。
「もしもしっ!?」
『悟が...目が覚めたよ。』
「うん、うん...。大丈夫なの?」
『悟が─...電話変わってだって。』
「...すぐ変わって。」
.....
それから少し間があってやっと
悟の声が聞こえた。
『沙菜...。ごめんな。心配かけて。』
「何言ってるのよっ!大丈夫なの?」
『...ああ。明日...始業式だよ...な?』
「そんな心配しなくていいからっ!
ゆっくり休んで早く回復してよ。」
『ああ...。俺さ、頭、針で縫ったらしい。』
「...大丈夫なの?もう痛くない?」
『...早く沙菜に会いてえ...な。』
こんなときでも悟は私を
すぐドキドキさせる。
「ばか...はやく治せ!じゃなきゃ...
浮気しちゃうよ?」
『ばーか。こんな俺がいるのに浮気
できるっつーか。なあ、沙菜。』
「ん?何?」
つい私の声も優しくなってしまう。