シスコン王子とブラコン姫

会いたかった

悟Side

｢...じゃ､俺は､一旦帰るな｡｣

｢うん...迷惑かけてごめんなさい｡｣

もう学校が始まって3日経ったらしい｡
俺は､今日病院を退院して
母さんと姉ちゃんと家に帰る。

うららは､俺のことを見送りに
きてくれた。

｢何かあったらいつでも俺に
連絡しろよ｡どうせ俺暇だし｡｣

｢...悟ちゃんは暇じゃないでしょ｡｣

うららはあきれたように大きな
ため息をはいた。

｢...何で?」

｢沙菜ちゃんが...待ってるじゃん｡｣

｢ああ...｡まあ､な｡｣

なんとなく沙菜がいない場所で
沙菜の名前がでると急に
胸が熱くなる。

｢沙菜ちゃんが羨ましい｡｣

うららがポツリと呟いた。

｢え?｣

俺は､聞こえていたのになんだか
聞き返してしまった。

｢あ､なんでもないっ｡それじゃあ...
またね｡｣

｢あっああ...｡おじさん...にも...
何かあったら言えよ?」

｢...うん｡｣

あれからおじさんは目覚めない。
よく分からないけど脳がどうだとか
言っていた。

俺が車にのりこむとうららは
急に悲しい顔をした。

母さんは気を利かせたのか
車の窓を開けてくれた。

｢...じゃあなっ!」

｢うん...ありがとっ｡｣

うららは､俺たちの車が見えなくなるまで
ずっと手を振っていた。
執事さんもずっと深く礼をしていた。