シスコン王子とブラコン姫
会いたかった。
ただ今はそれだけ─。
でも会えたんだ─。
こうやって私たち会えたんだ─。
それだけでもう十分幸せ。
普段一緒にいられることが
どれだけ幸せなんだろう─?
─────
「沙菜...元気にしてたか?」
「見たら分かるでしょ?この通り
元気に決まってるじゃんっ♪」
「じゃ...何で泣いているんだよ?」
悟が急に立ち止まって私の
頬をなぞった。
「え─...?」
知らないうちに泣いていたのかもしれない。
「沙菜...ごめんな。」
悟は、また私をギュッと抱きしめた。
「...そう思うなら...もう私から
離れないでよ─。」
今は、分かった。
私─、泣いているって─。
「...もう沙菜からは死んでも絶対
離れねえよっ!」
悟が、私をもっと強く抱きしめた。
「悟─...うららちゃんは大丈夫なの?」
私の一言で悟は、ゆっくり私の体を
離した。
「悟─...?」
「こういう話は...あんましたくねえんだけど...
無理っぽいらしい...うららの父さん。」
「...そっか。」
気の毒ってこういうことを
言うんだね─...。
「うららちゃん...外国戻るの?」
「まだそういうのは決めてねえらしい。
ずっと日本に、いたいらしいけど...
病院とか...うららの高校とか...
色々あるらしいから...さ。」
「そう.....。」
「でも都内の病院にうつるっては
言ってたような─。」
じゃ、うららちゃんとまた会う機会が
増えるんだ─。