シスコン王子とブラコン姫

会いたかった。
ただ今はそれだけ─。
でも会えたんだ─。
こうやって私たち会えたんだ─。
それだけでもう十分幸せ。
普段一緒にいられることが
どれだけ幸せなんだろう─?

─────

「沙菜...元気にしてたか?」

「見たら分かるでしょ?この通り
元気に決まってるじゃんっ♪」

「じゃ...何で泣いているんだよ?」

悟が急に立ち止まって私の
頬をなぞった。

「え─...?」

知らないうちに泣いていたのかもしれない。

「沙菜...ごめんな。」

悟は、また私をギュッと抱きしめた。

「...そう思うなら...もう私から
離れないでよ─。」

今は、分かった。
私─、泣いているって─。

「...もう沙菜からは死んでも絶対
離れねえよっ!」

悟が、私をもっと強く抱きしめた。

「悟─...うららちゃんは大丈夫なの?」

私の一言で悟は、ゆっくり私の体を
離した。

「悟─...?」

「こういう話は...あんましたくねえんだけど...
無理っぽいらしい...うららの父さん。」

「...そっか。」

気の毒ってこういうことを
言うんだね─...。

「うららちゃん...外国戻るの?」

「まだそういうのは決めてねえらしい。
ずっと日本に、いたいらしいけど...
病院とか...うららの高校とか...
色々あるらしいから...さ。」

「そう.....。」

「でも都内の病院にうつるっては
言ってたような─。」

じゃ、うららちゃんとまた会う機会が
増えるんだ─。
< 210 / 283 >

この作品をシェア

pagetop